
transcript
show notes
今回のゲストは、Finatext Holdings 取締役CFOの伊藤 祐一郎さん。
金融という規制も業務も複雑な業界に特化し、ソフトウェアを提供してきたFinatext。金融業務の基幹システム、いわゆるSoRのど真ん中を担う、日本を代表するバーティカルプレイヤーの一社です。
AIが業務に入り込む時代に、この足場をどう活かし、どこで戦うのか――前編は、いま各社が張り始めた「コンテキストレイヤー」は本当に稼げるのか、という問いを軸に、Finatextの戦略を解剖していきます。
付加価値が残るのは、おそらくコンテキストレイヤー。ただし、価値が残る場所と、そこで稼げる場所は必ずしも一致しない――。だからこそ、どのレイヤーで収益を取れるかを今の時点で決め打ちせず、上からも下からも張る。SoRにエージェントを載せていくだけでなく、あえてエージェントのレイヤー側からも攻め込み、両側から挟み込みにいく。
その意思決定の背景を伺いました。
なぜ一体で提供しないと勝てないのか、という問いも印象的でした。
金融のコンプライアンスチェックのように、相手が誰で、何を、いつ売ってよいかという文脈をリアルタイムに踏まえる必要がある領域では、SoRを持つプレイヤーがエージェントまで担わないと、精度が担保できない。レイヤーがなぜ融合に向かうのか、その必然が具体で語られます。
さらに話題は、大手SIerが長年握ってきたエンタープライズ市場へ。
これまで、個社ごとの業務に埋め込まれた例外処理やルールは、システムの一行に溶け込んだ暗黙知となり、「その会社にしかわからない」状態を生んできました。この暗黙知を、生成AIが過去の意思決定ログから言語化できるようになったら――。
伊藤さんが「コンテキストグラフ」と呼ぶこの発想の先に、外部プレイヤーが巨大なエンプラ市場へ切り込む可能性を見ています。
SoRという足場を持つ企業は、AI時代にどこで価値を取りにいくのか。
レイヤーの組み替えを、事業の意思決定としてどう捉えるか――事業戦略を考えるヒントが盛りだくさんの回になっています。
【アジェンダ】
- (1:37) Finatext事業紹介と伊藤さん自己紹介
- (5:42) 金融で問い直すAI時代のレイヤー構造―ビジネスロジックはエージェントに置き換わるのか
- (10:24) 金融にエージェントレイヤーは出てきているのか―「一体で提供しないと勝てない」の意味
- (15:00) どのレイヤーで稼げるかは、まだわからない―上下から挟み込む戦略の背景
- (19:02) 同じ企業を特定することすらできていない―名寄せとデータ基盤設計に効くバーティカルの知見
- (25:08) 暗黙知を言語化できる今、大手SIerの独占市場に切り込めるか
- (28:08) 100個試して2個当てる―伊藤さんが「愛してる」会社Ramp
【ゲストプロフィール】
伊藤 祐一郎 / 株式会社Finatextホールディングス取締役CFO
東京大学経済学部卒業。2010年よりUBSの投資銀行本部においてIPOやグローバルM&Aのアドバイザリー業務に従事。2016年に株式会社Finatext(現・株式会社Finatextホールディングス)に参画しCFOに就任。グループ内で、証券ビジネスプラットフォームを提供するスマートプラス、次世代型デジタル保険を提供するスマートプラス少額短期保険、組込型融資を提供するスマートプラスクレジットの立上げを牽引。著書に『実践 エンベデッドファイナンス』。
【参考記事】
伊藤さんnote:FinatextのグループAI戦略ー10年の逆張りが、AI時代の必然に。