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サイバーセキュリティ新聞 · August 15 · 21 min

入門編#24丨脅威モデリングとは何か——攻撃者の行動から逆算するセキュア・バイ・デザイン

脅威モデリングとは、サイバー攻撃の手口をただ並べる作業ではありません。 本エピソードでは、脅威モデリングとは何か、なぜ経営者や事業責任者に必要なのかを解説します。 取り上げる主なテーマ - 脅威モデリングとは何か - セキュア・バイ・デザイン - 脆弱性診断・ペネトレーションテストとの違い - OWASPの4つの問い - 守るべき資産ではなく「許容できない結果」から考える - 信頼境界(Trust Boundary) - 攻撃者の期待利益 - 金銭目的の犯罪者と国家支援型攻撃者の違い - ランサムウェアと知的財産窃取 - 多層防御 - 残留リスク・残余リスク - CISOと事業責任者の役割分担 - リスク受容のガバナンス - 悪いKPIと良いKPI - STRIDEとチェックリスト化の罠 - 経済産業省・国家サイバー統括室のガイドライン - AI時代の脅威モデリング 脅威モデリングの本質は、未来の攻撃を完璧に予言することではありません。 自社にとって絶対に起きてはいけない結果は何か。 どこに信頼境界があるのか。 誰が、どの目的で、どの経路から攻撃してくるのか。 どのリスクを設計段階で消すのか。 残ったリスクを誰が引き受けるのか。 これらを、システムが完成する前に考えるためのプロセスです。 完成した家の窓や鍵を後から調べるのが脆弱性診断だとすれば、脅威モデリングは、最初の設計図の段階で「泥棒が届かない位置に窓を置く」「火事が広がらない区画を作る」ための作業です。 最新のEDRやゼロトラスト製品を導入しても、構造的な欠陥は後から簡単には直せません。 だからこそ重要なのは、攻撃者の視点から逆算し、事業への影響を基準に設計することです。 金銭目的の犯罪者は、早く利益を得るためにランサムウェアで業務を止めます。 国家支援型の攻撃者は、気づかれないように長期間潜伏し、設計図や知的財産を少しずつ盗みます。 同じ侵入口でも、相手によって必要な防御は変わります。 そして、どれだけ対策しても最後には残留リスクが残ります。 そのリスクを受け入れるのは、CISOだけではありません。 そのシステムで利益を得る事業責任者、経営層が、条件と期限を明確にして引き受ける必要があります。 脅威モデリングは、IT部門だけの作業ではありません。 不確実なリスクに名前をつけ、優先順位をつけ、誰が責任を持って前に進むのかを決めるための、経営の思考技術です。

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脅威モデリングとは、サイバー攻撃の手口をただ並べる作業ではありません。


本エピソードでは、脅威モデリングとは何か、なぜ経営者や事業責任者に必要なのかを解説します。


取り上げる主なテーマ


- 脅威モデリングとは何か

- セキュア・バイ・デザイン

- 脆弱性診断・ペネトレーションテストとの違い

- OWASPの4つの問い

- 守るべき資産ではなく「許容できない結果」から考える

- 信頼境界(Trust Boundary)

- 攻撃者の期待利益

- 金銭目的の犯罪者と国家支援型攻撃者の違い

- ランサムウェアと知的財産窃取

- 多層防御

- 残留リスク・残余リスク

- CISOと事業責任者の役割分担

- リスク受容のガバナンス

- 悪いKPIと良いKPI

- STRIDEとチェックリスト化の罠

- 経済産業省・国家サイバー統括室のガイドライン

- AI時代の脅威モデリング


脅威モデリングの本質は、未来の攻撃を完璧に予言することではありません。


自社にとって絶対に起きてはいけない結果は何か。

どこに信頼境界があるのか。

誰が、どの目的で、どの経路から攻撃してくるのか。

どのリスクを設計段階で消すのか。

残ったリスクを誰が引き受けるのか。


これらを、システムが完成する前に考えるためのプロセスです。


完成した家の窓や鍵を後から調べるのが脆弱性診断だとすれば、脅威モデリングは、最初の設計図の段階で「泥棒が届かない位置に窓を置く」「火事が広がらない区画を作る」ための作業です。


最新のEDRやゼロトラスト製品を導入しても、構造的な欠陥は後から簡単には直せません。


だからこそ重要なのは、攻撃者の視点から逆算し、事業への影響を基準に設計することです。


金銭目的の犯罪者は、早く利益を得るためにランサムウェアで業務を止めます。

国家支援型の攻撃者は、気づかれないように長期間潜伏し、設計図や知的財産を少しずつ盗みます。


同じ侵入口でも、相手によって必要な防御は変わります。


そして、どれだけ対策しても最後には残留リスクが残ります。


そのリスクを受け入れるのは、CISOだけではありません。

そのシステムで利益を得る事業責任者、経営層が、条件と期限を明確にして引き受ける必要があります。


脅威モデリングは、IT部門だけの作業ではありません。


不確実なリスクに名前をつけ、優先順位をつけ、誰が責任を持って前に進むのかを決めるための、経営の思考技術です。