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濡れない=感じていない、ではありません。濡れている=感じている、でもありません。体は嘘をつきませんが、聞かれたことに答えているとは限らないのです。
濡れてるからOKと思っている男性が多い反対に濡れていないことで悩む女性も多いそんな方に知って欲しいのは身体と気持ちは完全に一致しないという事
「濡れているから大丈夫だと思われた」という声と、「濡れなかったから、悪いことをした気持ちになった」という声。正反対に見えて、たぶん同じところでつまずいています。132本の研究をまとめた解析が、体の反応と、本人が答えた興奮の強さが、どれくらい一緒に動くのかを調べています。ただし、その装置が測っていたのは「濡れた量」ではありませんでした。今回は10分で、そこを確かめます。
体を読むのをやめて、一言だけ聞いてみる。それだけで、採点が相談に変わります。
- ✅ 体の反応と、本人が答えた興奮の強さは、男性ではよくそろい、女性ではそろい方がずっと弱く出たこと(1969年から2007年までの132本の研究をまとめた解析・いずれも海外の研究)
- ✅ ただしその装置が測っていたのは分泌液の量ではなく、腟の血の巡りだったこと
- ✅ 体の表面の温度で測った研究では、そろい方が二倍近くに上がり、男性で出ていた範囲に入ったこと——「女性は一致しない」ではなく「測り方で変わる」
- ✅ 望まない場面でも体の反応は起こる、と同じ研究に書かれていること。だから体は、どちらの向きにも証拠になりません
- ✅ ローションは「使えば良くなる」と言えるほど調べられていないこと——使う場合と使わない場合を比べた試験は、2021年のまとめでは快感で1件、痛みでは1件もない
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参考文献・関連リンク
今回のエピソードで参考にした研究です。いずれも海外のもので、日本の数字ではありません。
- Agreement of Self-Reported and Genital Measures of Sexual Arousal in Men and Women: A Meta-Analysis (2010) (E57)— Archives of Sexual Behavior。1969〜2007年の132本の研究を統合した解析(主に欧米の実験室研究)。性器の反応と本人が申告した性的興奮の相関は、全研究をまとめると男性 r=0.66(95%CI 0.57–0.75・n=1,732)、女性 r=0.26(95%CI 0.21–0.32・n=2,345)。測り方で数字は変わり、女性の研究のうち条件をそろえたもの(実験的な操作のない基本的な標本)に絞って比べると、腟フォトプレチスモグラフィー(2つの信号のうち腟パルス振幅)r=0.27 に対し、体表温度を見るサーモグラフィーでは r=0.55(研究5本・n=97)で、著者は「男性で報告されてきた推定値の範囲に入る」と書いています。ただし上の男性 r=0.66 は全研究をまとめた値で、絞り込んだ値とは集計の土台が違うため、そのまま並べて比べられません。同じ条件で絞り込んだ男性の値は r=0.62(95%CI 0.46–0.78)です(論文は「範囲」が何の幅かまでは書いていません)。温度で測る研究は数が少なく、サーモグラフィーのほうが妥当な値を出すのかは、装置どうしを比べる研究を重ねて確かめる必要がある、とも断っています。腟の中に入れる装置(腟フォトプレチスモグラフィー)が測っているのは腟の血の巡りであって、分泌液の量ではありません。著者自身が「その変化の単位は明確な生理学的対応物を持たない」と書いています。また、望まない性行為や性的脅威の場面でも性器の反応は起こること、その反応は本人が好ましいと感じているかどうかに関わらず自動的に始まることが述べられています。番組でお伝えした「体が反応したことは、その人が望んでいた証拠にはならない」は、この記述をもとにした番組としての言い方で、「性器の反応は同意の指標ではない」という文が原著にあるわけではありません。
- Lubricants for the promotion of sexual health and well-being: a systematic review (2021) — Sexual and Reproductive Health Matters 29巻3号。潤滑剤(ローション)についての系統的レビュー。使う場合と使わない場合を無作為に分けて比べた試験は、このレビューの範囲で快感やウェルビーイングについて1件のみ、痛みについては1件もありません。観察研究は2件あり、うち男性どうしの受け手側の性交を調べた研究では「ローションを使っている人のほうが痛みを訴えた割合が高い」(RR 3.59)が、同じ研究で痛みの強さはむしろ低く、もう1件(乳がんを経験した女性)では乾きや性交痛の状態が良好でした。著者はこの割合の差を逆の因果——痛みのある人がローションを使うため——と解釈しています。証拠の確実性は最低の評価で、著者自身も出版バイアスの可能性に触れています。「使えば快感が上がる」「使えば痛みが減る」と確かめられたわけではありません。日本人を対象にした研究は見つかりませんでした。
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【夢野アートについて】
夢野アートは、夢野カナエの体験と、性科学・セクシャルウェルネスの知識をもとに、性のお悩みや快感の仕組みを明るくわかりやすく発信するブログ・ポッドキャストです。
「快感を科学する」をテーマに、あなたの毎日が少し楽しくなるヒントをお届けします。
【ご注意】
※番組内で「研究は見つかりませんでした」「文献はありません」とお伝えしている箇所は、収録時点で私たちが調べた範囲での結果です。あとから見つかることもあります。新しい情報が出たときは、番組や記事で訂正します。
本エピソードは、性に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医学的診断や治療を目的としたものではありません。ご紹介した研究はいずれも海外のもので、日本の数字ではありません。
体の反応と気持ちがそろわないことは、異常ではありません。ただし、挿入のたびに痛む、乾きや痛みが続く、出血がある——そういうときは、体のほうに理由があることもあります。我慢して慣れるものではありませんので、婦人科など相談できる場所を頼ることも選択肢のひとつです。ローションについては、使う場合と使わない場合を比べた試験がほとんど存在しません。これは「効かない」という意味でも、「効くと確かめられている」という意味でもありません。






